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学校検尿異常

学校での検尿で異常と言われた

学校での検尿で異常と言われた4月になり春を迎えると、毎年学校で検尿が行われます。
この検尿では、血尿・蛋白尿・糖尿について調べます。検尿の結果が返ってきて、異常を指摘された場合には、お早目に当院にご相談ください。
なおこのページでは、学校検尿の目的、主な項目、検尿で見つかることのある病気、正しい採尿の方法、異常を指摘された場合にとるべき対応などについて、詳しくご説明いたします。

学校検尿はなぜ行われるのか

学校検尿はなぜ行われるのか腎臓の病気の症状としては、尿が出にくい、赤い尿が出る、むくみなどが挙げられます。しかし、こういった自覚症状が実際に現れるのは、一部の腎炎や慢性腎臓病のお子さまに限られます。
最近では、腎臓の病気に対する治療法も進歩し、慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)のお子さまでも早期発見、早期治療により腎機能が保てるようになりました。
学校検尿は、自覚症状の乏しい腎臓の病気をもつお子さんを早期発見し、早期治療へとつなげることを目的としています。

血尿

尿に血液が混じっている状態で、赤い尿として見えることもあれば、検査でしかわからないこともあります。腎炎や腎症、尿路結石、出血性膀胱炎など、多くの病気でみられます。一過性や家族性のこともあり、治療が不要な場合もあります。

蛋白尿

尿に蛋白質が漏れている状態で、腎臓の機能に何らかの異常がある可能性があるため、定期的な尿検査が必要です。運動や体位に伴う蛋白尿、一過性蛋白尿は治療の必要はありません。運動により蛋白尿が出ることがあるので、早朝第一尿で検査をすることが大切です。

尿糖

尿にブドウ糖が出ている状態で、通常は見られません。血糖値の異常や一時的な体調の変化が原因のこともありますが、糖尿病の初期サインや腎機能障害の症状であることもあります。

学校検尿で見つかる可能性のある主な腎臓の病気

IgA腎症

「IgA」という蛋白質が腎臓にひっつくことで発症し、もっとも多く見られる慢性の腎臓病です。血尿や蛋白尿が見られ、無治療で経過をみる場合から、透析が必要になる重症例までさまざまです。診断には腎生検が必要です。

膜性腎症

主に蛋白尿が目立つ病気で、むくみから気づかれることもあります。診断には腎生検が必要で、採取された組織の所見や症状の程度に応じて治療方針が決まります。

アルポート症候群

遺伝性の腎臓の病気で、血尿が長く続くことが多く、難聴や目の異常を伴うこともあります。一般的に男性のほうが重症化しやすく、10代から腎機能が低下することがあります。診断には腎生検や遺伝子検査が行われます。

擬陽性・偽陰性を防ぐ、
正しい検尿の採取方法

擬陽性・偽陰性を防ぐ、正しい検尿の採取方法誤った方法で採尿した場合、偽陽性(見せかけの異常)・偽陰性(見せかけの正常)の原因になります。病気を見落としたり、余計な不安を感じないよう、正しい採尿・検尿をしましょう。
学校でも改めて説明があるかと思いますが、特に以下のような点にご注意ください。

  • 採尿の前日は夜に必ずお風呂に入り、排尿部をきれいにしておきましょう。
  • 採尿の前日、就寝前に必ず排尿をしてください。
  • 採尿当日、起床後すぐにトイレに行き、中間尿(出始め・出終わりではない途中の尿)を採取しましょう。
  • 生理中は正しく評価できないため、生理終了後、3~5日空けて採尿しましょう。

やってはいけないこと

  • 学校に持っていくのに忘れないようにと、前日に採尿してはいけません。尿で細菌が繁殖し、誤った結果が出る原因になります。
  • 採尿の前日の夕方以降、激しい運動は控えてください。採尿の前日は、大量のビタミンCの摂取をお控えください。通常の飲食をする分には問題ありませんが、サプリメント等で摂取しないでください。

学校検尿(1次、2次(3次))で
異常があった場合の流れ

学校検尿には、全員が受ける「1次検査」、1次で陽性だった場合に受ける「2次検査」が行われます。そして2次検査で陽性だった場合に、医療機関で「3次検査(精密検査)」を受けるというのが基本的な流れとなります。

学校から3次検査(精密検査)の受診案内があった場合

学校から3次検査(精密検査)を受けるよう案内があった場合には、当院にご相談ください。
正しい採尿方法を改めて指導し、尿検査を行います。
問診では、症状・既往歴・家族歴などについてお伺いします。また身体所見を取り、必要に応じた検査を行います。

当院院長は、日本腎臓学会の専門医です

豊富な経験と知識を活かし、正確な診断・治療を行います。
腎臓の形や状態を調べるためのエコー検査も行います。高次医療機関との連携もスムーズですので、安心してご相談ください。