ヘルパンギーナ
ウイルス感染によって発症する、いわゆる「夏かぜ」と言われる病気です。口の中に水泡ができ、突然の高熱、のどの痛みを伴います。お熱は2~4日程度続くことが多く、のどの痛みが強い時は、食べ物を飲み込むことができなくなることもあります。
症状

- 突然の高熱
- 喉の痛み
- 口の奥(軟口蓋)に水疱や潰瘍
- 食欲不振、水分摂取困難
原因
コクサッキーウイルスが主な原因で、飛沫感染や接触感染によって広がります。特に夏場に流行しやすい傾向があります。
ヘルパンギーナと手足口病の違い
ヘルパンギーナと手足口病は、どちらも夏に流行しやすいウイルス感染症で、エンテロウイルス(主にコクサッキーウイルス)によって引き起こされますが、症状や発疹の出る場所などに違いがあります。
ヘルパンギーナ
- 原因ウイルス:主にコクサッキーウイルスA型
- 主な症状:突然の高熱、のどの痛み、口の奥(のどちんこの周辺)に小さな水ぶくれや潰瘍ができる
- 発疹の部位:口の奥中心で、体にはほとんど発疹が出ない
- 好発年齢:主に乳幼児(1〜4歳)
手足口病
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原因ウイルス:コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型など
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主な症状:口の中、手のひら、足の裏などに水ぶくれ状の発疹が出る。熱は出ないか、微熱程度
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発疹の部位:口、手、足、ひざやおしりにも出ることがある
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好発年齢:乳幼児~学童まで幅広い
ヘルパンギーナは大人や家族にうつる?
ヘルパンギーナは主に乳幼児に流行するウイルス感染症ですが、大人や同居する家族にも感染する可能性があります。原因となるコクサッキーウイルスは、飛沫感染や接触感染、さらには便を介した経口感染によって広がります。特におむつ交換やトイレ後の手洗いが不十分な場合、家庭内で感染が拡大することがあります。
大人が感染した場合、症状が出ないことが多い一方で、初めて感染する場合や体力が低下していると、発熱やのどの痛みなどの症状が現れることもあります。まれに重症化することもあるため、注意が必要です。
家庭内での感染予防には、手洗いの徹底、タオルや食器の共有を避けること、咳エチケットの実践が重要です。感染している子どもがいる場合は、看病する際も衛生対策を心がけ、家族全員で予防に努めましょう。
治療
特効薬はなく、対症療法が中心です。解熱剤で熱を下げ、水分補給を十分に行います。口内の痛みで食事が困難になる場合もあるため、喉ごしの良いものを与えます。解熱し、食事や水分がしっかりとれるようになれば、登園・登校は可能です。
よくある質問
ヘルパンギーナにかかったら病院に行くべきですか?
高熱が続く、水分が取れない、ぐったりしているなどの症状がある場合は受診をおすすめします。軽症であっても診断を受けることで他の病気との区別がつきやすくなります。
食事はどうすればいいですか?
口の中が痛むため、刺激の少ない冷たいゼリーやスープ、プリンなどが食べやすいです。無理に食べさせず、水分補給を優先しましょう。
潜伏期間はどのくらいですか?
感染してから発症するまでの潜伏期間は、一般的に2〜5日程度です。この間にもウイルスを排出していることがあります。
発症してから治るまで、どのように症状が進みますか?
ヘルパンギーナは、ウイルスに感染してから2~4日の潜伏期間を経て、突然の高熱で発症します。その後、のどの痛みや、口の奥(咽頭粘膜)に小さな発疹が現れます。発熱は通常1~3日ほどでおさまり、のどの発疹も徐々に消えていき、自然に回復します。
基本的には軽症で済むことが多い感染症ですが、まれに髄膜炎や脳炎などを合併することがあります。高熱が長引く場合や、強い頭痛、嘔吐などの症状が見られた際は、早めに受診してください。
ヘルパンギーナにかかったら、保育園は何日休めばよいですか?
ヘルパンギーナには、インフルエンザのような明確な出席停止期間の規定はありません。そのため、熱が下がり、全身の状態が良くなれば登園・登校を再開してかまいません。口の中の発疹が残っていても、元気で食事や水分がとれていれば、必ずしもお休みする必要はありません。
また、家族にヘルパンギーナに感染した子がいても、無症状の兄弟は登園・登校は可能です。ただし、園や学校によって対応が異なる場合もありますので、心配なときは事前に確認すると安心です。
お風呂に入っても大丈夫ですか?
高熱がなく、元気があれば短時間の入浴は可能です。ただし、本人がつらそうなときは無理せず、体を拭く程度にしましょう。
再びかかることはありますか?
ヘルパンギーナの原因となるコクサッキーウイルスには複数の型が存在します。そのため、一度感染して免疫ができても、別の型のウイルスに感染すると再びヘルパンギーナを発症することがあります。ただし、同じ型に対しては免疫がつくため、同じ型のウイルスによる再感染はまれです。季節や年齢によって流行する型が変わることもあり、特に乳幼児は複数回かかることがあります。