突発性発疹
2歳までのお子さまに多く見られ、38度以上の発熱が3〜4日続いた後、解熱とともに全身に発疹が現れる病気です。咳や鼻水などの症状はほとんどなく、発症初期には診断が難しいことがありますが、発疹の出現によって診断されます。発疹はかゆみや痛みを伴わず、跡を残さず自然に消えていきます。
症状

- 突然の高熱
- 熱は3〜4日続く
- 解熱後に体幹中心に赤い発疹(顔・四肢にも広がる)
- 発疹はかゆみが少なく、数日で消える
- 熱のわりに比較的元気なことが多い
原因
ヒトヘルペスウイルス6型または7型による感染で、唾液を介して広がります。乳幼児期にみられるため、初めてのお熱の原因となることもあります。
突発性発疹で子どもが不機嫌になるのはなぜ?
突発性発疹は、特に解熱後に子どもが強く不機嫌になることがあり、「不機嫌病」とも呼ばれています。
子どもが不機嫌になる主な理由は、体調の変化による不快感や不安感です。高熱や発疹など、いつもと異なる体調に対し、まだ言葉で表現できない乳幼児は、泣いたり癇癪を起こしたりして不快を訴えます。
また、突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6型や7型は神経に親和性があり、これが不機嫌の一因となる可能性も指摘されています。
不機嫌はいつまで続くの?
突発性発疹による子どもの不機嫌は、発疹が出た後から2~4日程度続くことが多いです。
これは、熱が下がって「もう元気かな?」と思った後に始まるため、親御さまが驚くことがあります。ですが、これはこの病気の特徴のひとつで、多くの場合は自然に落ち着きます。
以下の場合には注意が必要です
- 極端に機嫌が悪く、あやしても泣き止まない
- けいれんや意識の変化がある
- 発熱が長引く(4日以上)
こういった症状がある場合は、念のため当院まで相談ください。通常は軽症で済みますが、まれに合併症のサインの可能性があります。
不機嫌への対処法
突発性発疹後の不機嫌には、まずお子さんが安心できる環境を整えることが大切です。抱っこや優しい声かけ、好きなおもちゃや絵本で気をそらしてあげましょう。無理に機嫌を取ろうとせず、そばにいて見守るだけでも安心感につながります。
また、静かで落ち着いた場所で過ごすことも効果的です。テレビや大きな音を避けて、リラックスできる雰囲気を心がけましょう。
体調が回復途中のため、疲れや空腹でさらに不機嫌になることもあるので、こまめに水分をとらせたり、食べられるものを少しずつ与えるとよいでしょう。
夜に寝つきが悪くなることもありますが、無理に寝かしつけず、抱っこや添い寝などで安心感を与えてください。
通常は数日で落ち着きますが、極端なぐずりや様子がおかしい場合は医師へご相談ください。
突発性発疹は大人や家族にうつる?
突発性発疹は、基本的には乳幼児期に初めて感染する病気です。
ヒトヘルペスウイルス6型または7型が原因ですが、このウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、多くの人は2歳までにすでに感染して抗体を持っています。そのため、大人や家族、兄弟にうつる可能性はありますが、再感染や発症することはほとんどありません。
治療
特別な治療は不要で、症状に応じた対症療法を行います。高熱には解熱剤を使用し、水分補給を優先します。発疹は自然に消えていきます。解熱し、全身状態が良ければ登園可能です。発疹が残っていても元気であれば問題ありません。
よくある質問
どのタイミングで病院に行けばいいですか?
高熱が続く場合、けいれんが起きた場合、意識がぼんやりしている場合などはすぐに受診してください。発疹後の不機嫌だけなら経過観察で大丈夫なことが多いです。
2回かかることはありますか?
基本的には1回だけですが、HHV-6とHHV-7は別のウイルスなので、両方にかかる可能性もあります(つまり2回似たような症状を経験することがあります)。
突発性発疹のウイルスは一生体内に残りますか?
はい、ヒトヘルペスウイルス6型・7型は初感染後に神経節などに潜伏し、一生体内に残ります。通常は再発しませんが、免疫が低下したときに再活性化することがあります。
突発性発疹と他の発疹性疾患(麻疹・風疹など)との見分け方は?
突発性発疹は高熱→解熱→発疹という順番が特徴で、発疹も顔から始まり体に広がります。麻疹や風疹は発疹と発熱が同時に出ることが多いため、経過が違います。
発疹が消えたあとに皮がむけることはありますか?
突発性発疹の発疹が治まった後に、皮がむけたり跡が残ったりすることは、通常はありません。発疹は数日で自然に消えていき、皮膚も元の状態に戻るのが一般的です。ただし、肌質や体質によっては、発疹のあった部分に一時的にうっすらと色素沈着が見られることがあります。これも時間の経過とともに次第に薄くなっていきますので、心配はいりません。
発疹が出ている間にお風呂に入っても大丈夫ですか?
はい、発疹が出ている間でも、熱が下がっていて全身の状態が安定していれば、お風呂に入っても問題ありません。突発性発疹の発疹自体は感染源ではないため、他の人にうつる心配もありません。ただし、発疹がかゆそうなときや、機嫌が悪くて体調が万全でないと感じた場合は、無理をせず、ぬるめのシャワーや清拭で様子を見てください。