- 子どものおねしょ(夜尿症)
- おねしょ(夜尿症)の原因
- おねしょ(夜尿症)は何歳まで様子を
見て大丈夫?治療のタイミングは? - おねしょ(夜尿症)の治療にあたって
大事なこと - おねしょ(夜尿症)の治療方法
子どものおねしょ(夜尿症)
寝ているあいだに無意識におしっこをしてしまうことを「おねしょ」と言います。
4歳くらいまでのおねしょについては特に心配はいりません。ただ、5歳以降のおねしょについては、「夜尿症」として治療の対象と捉えます。
お子さまのお気持ちに十分に配慮した治療を行って参りますので、安心してご相談ください。
また、5歳未満であっても、おねしょについて何か気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
おねしょ(夜尿症)の原因
おねしょの原因としては、寝ているあいだに多量の尿が作られること、膀胱が小さいことが挙げられます。
前者については、夜に水分を摂る量を控えることである程度の対策が可能ですが、後者については体質的な問題となります。
なお、ご両親に夜尿症の既往がある場合、お子さまも高確率で夜尿症になると言われています。
おねしょ(夜尿症)は何歳まで
様子を見て大丈夫?
治療のタイミングは?
基本的には、5歳以上で頻繁・定期的におねしょをしてしまう場合に、夜尿症と捉えて治療を行います。
年齢・頻度などによって、治療内容の目安が異なります。
毎晩の おねしょ |
週3~4回のおねしょ | 週1~2回のおねしょ | |
年中・年長(5・6歳) | 生活習慣の改善 | 経過観察 | |
小学 1~2年生 (7・8歳) |
生活習慣の改善・薬物療法・アラーム療法 | 生活習慣の改善 | |
小学 3年生~ (9歳~) |
生活習慣の改善・薬物療法・アラーム療法 |
おねしょ(夜尿症)の
治療にあたって大事なこと
子ども自身の「治したい」
という気持ちが大事
夜尿症の治療では、お子さまご本人の「治したい」という気持ちが大事です。
お子さまの頑張りを褒めてあげること、繰り返してしまう場合も励ましてあげること、近い将来に必ず治ると伝えることなどで、モチベーションを保ってあげましょう。
また生活習慣の改善、薬物療法、アラーム療法といった治療も、良くなるため手段として、まずはご両親が前向きに捉えることが大切です。
親御さんが守る治療の原則
お子さまは、お母さま・お父さまの表情、態度などを敏感に読み取ります。夜尿症に関連するお話をする時、おねしょの片づけをする時、あるいは医療機関を受診する時など、以下のような点にお気をつけください。
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治療を頑張っている時、おねしょをしなかった時には、十分すぎるほど褒めてあげましょう。
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おねしょをしてしまった時、治療に前向きになれない時も、叱らずに励ましましょう。
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「早く治したい」というご家族の焦りは、お子さまに伝わります。「いつか治るから大丈夫」と、できるだけ気楽に考えましょう。
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おねしょをしないお友達、兄弟姉妹などとの比較をしてはいけません。
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夜間に起こしてトイレに行かせることはお控えください。その日のおねしょは避けられるかもしれませんが、「夜間に排尿する」という癖がつく原因となり、長い目で見ると逆効果です。
ほとんどのお子さまが、身体が大きくなると自然と治る病気です。ご両親のほうが早く治したいという気持ちが強くなりがちですが、「焦らずに」見守ることがとても大事です。
おねしょ(夜尿症)の治療方法
夜尿症の治療には、生活習慣の改善、薬物療法、アラーム療法などがあります。
もっとも基本となるのが、生活習慣の改善です。
生活習慣の改善
早寝早起き・生活リズムを
整える
起床時間、就寝時間はできる限り一定にしましょう。また、朝食・昼食・夕食も、毎日同じ時間帯に摂るのが理想です。食事にも水分が含まれますので、夕食は就寝の3時間前までに済ませるようにします。就寝まで3時間開けることができない場合は、夕食時に限り汁物は避けるか、具のみ食べるようにしましょう。
夜の水分摂取量を抑える
気温が下がり、活発に動くことも少ない夜は、日中ほど多くの水分は必要ありません。夕食から就寝までの水分摂取量は、コップ一杯程度に抑えましょう。
塩分の取り過ぎを控える
塩分を摂るとのどが渇き、水分を摂り過ぎる原因になります。特に夕食は、塩分を摂り過ぎない献立にしましょう。
寝る前にトイレに行く
おねしょにお悩みに多くのご家庭で実践されていることかと思いますが、やはり有効です。「したくない」という場合も、「行くだけでいいから」と優しく伝え、トイレに行く習慣を身につけさせましょう。
便秘にならないように
注意する
便秘は、膀胱の圧迫の原因となります。食物繊維をしっかり摂る・運動をするといったことで、便秘を予防・改善しましょう。便秘気味の場合は、お薬もあるのでご相談ください。
身体が冷えないようにする
身体が冷えると、尿が多量につくられたり、膀胱が収縮する原因になります。衣類、寝具、暖房器具などを活用し、身体が冷えないようにしてあげてください。
夜中に起こしてトイレに
行かせない
夜中に起こしてトイレに行かせると、「夜間に排尿する」癖がついてしまいます。夜尿症の治療という意味では、逆効果になります。
薬物療法
生活習慣を改善しても十分な効果が得られない場合には、薬物療法を導入します。抗利尿ホルモン薬、抗コリン薬などを使用します。
抗利尿ホルモン薬
尿を濃縮し、量を減らす作用があります。
水なしで飲める内服薬を使用します。
強制的に尿を止めるお薬であり、水分制限ができていないと、体内の水分が増えることで血中のナトリウムが下がり、けいれんのリスクになります。使用する場合は、きちんと水分制限を行いましょう。
抗コリン薬
膀胱をリラックスさせ、収縮を防ぎます。
内服薬またはテープ薬を使用します。
アラーム療法
お子さまの下着に、尿で濡れた時にアラームが鳴るセンサーを取り付けます。
おねしょをリアルタイムでお子さまが認識することで、夜間の貯尿量の増加、おねしょの量・回数の減少が期待できます。
お子さまのやる気、ご家族のご理解・協力が不可欠な治療ですので、導入するかどうか、いつ導入するかは慎重に判断します。
普段はアラーム療法を行い、外泊時に薬物療法を行うということも可能です。柔軟に対応いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。