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アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、ぜんそく

お子さまのアレルギーは
なぜ起こるのか

お子さまのアレルギーはなぜ起こるのかアレルギーは、本来身体にとって無害であるはずのものに対して、免疫が過剰に働き、反応(症状)として現れることを指します。
なぜこのような免疫の過剰な働きが起こるのかという原因については、未だはっきりしたことが分かっていません。
子どものアレルギーとしては、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、食物アレルギーなどがあります。アレルギーになりやすい体質の人は、成長する中で順番にこれらのアレルギーを起こすことが多くなります。この現象を、アレルギーマーチ(アレルギーの行進)と言います。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、花粉、ハウスダストといったアレルゲン(アレルギーの原因物質)が鼻の粘膜に付着して起こる鼻炎です。
アレルギー性鼻炎は、花粉が飛散する時期だけ症状が起こる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」と、年間を通して症状が起こる「通年性アレルギー性鼻炎」に分けられます。

症状

アレルギー性鼻炎の症状アレルギー鼻炎は、鼻水・鼻づまり・くしゃみを三大症状とします。アレルギー性結膜炎を合併し、目のかゆみや充血がみられることもあります。症状を伴うこともあります。

  • サラサラした鼻水
  • 鼻づまり
  • くしゃみ
  • 目のかゆみ
  • 目の充血
  • 涙があふれる、目やに

風邪とアレルギー性鼻炎の
見極め方

風邪の特徴としては、発熱・のどの痛み・頭痛などがありますが、アレルギー性鼻炎ではこれらの症状が通常見られません。
また、かゆみや充血といった目の症状がある(アレルギー性結膜炎)を合併している場合には、アレルギー性鼻炎の可能性が高まります。
その他、アレルゲンとの接触の機会の有無も、見分け方のポイントになります。ほこりっぽい部屋で症状が出る、花粉の飛散と合わせて症状が出たといったことがありましたら、アレルギー性鼻炎の疑いが強まります。

原因

アレルギー性鼻炎は、季節性アレルギー性鼻炎と、通年性アレルギー性鼻炎に分けられ、それぞれ原因が異なります。

季節性アレルギー性鼻炎

スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどの植物の花粉が原因となります。
その花粉が飛散する時期だけ、症状が現れます。

通年性アレルギー鼻炎

ダニ、ハウスダスト埃、真菌(カビ)、ペットの毛などが原因となります。
アレルゲンがある限り、年間を通して症状が現れます。

検査方法

血液検査で、アレルギー性鼻炎の原因となる花粉やハウスダストなどに対する特異的IgE抗体の有無を調べます。アレルゲンの特定に役立ちます。

治療方法

アレルギー性鼻炎の治療法には、以下のようなものがあります。

アレルゲンとの接触回避・
除去

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)であれば、マスクやゴーグルを着用する、花粉の飛散量が多い日の外出を避ける、帰宅時に上着に付着した花粉を外で払い落とす(花粉を室内に持ち込まない)といったことを行います。
通年性アレルギー性鼻炎であれば、部屋を小まめに掃除する、寝具やカーテンなどを小まめに洗濯する、畳・じゅうたんを避ける(フローリングがおすすめです)、換気をするといったことを行います。
基本的なことですが、とても大切な対策です。

薬物療法

抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などの内服を主に行います。症状によっては、点鼻薬、点眼薬も使用します。

舌下免疫療法

アレルギー性鼻炎の中でも、スギ花粉症、ダニアレルギーに有効となる治療です(保険が適用されます)。
毎日、舌の裏に少量のアレルゲンを含む薬剤を置き、一定時間保持してから飲み込みます。身体にアレルゲンを慣らしていくことで、症状を改善します。
通常、舌下免疫療法は3年以上の継続が必要です。治療を継続していくことで、症状の改善・解消、治療薬の減薬などが期待できます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が、悪くなったり良くなったりを繰り返す慢性の皮膚炎です。

症状

アトピー性皮膚炎の症状湿疹は、顔、首、肘、膝、足首などに左右対称に現れる・悪くなったり良くなったりを繰り返すという特徴を持ちます。

  • 皮膚の赤み、ブツブツ、ジクジク、カサカサ、かさぶた
  • かゆみ
  • 皮膚の乾燥

年齢別の現れやすい部位

0~1歳くらい

頬・額・頭部などに赤み・かゆみが生じることが多くなります。
その後、首・わき・肘・膝、場合によっては体幹や手足にも広がります。

2~12歳くらい

首・わき・肘や膝の裏側・手首・足首などに症状が現れることが多くなります。
その他、体幹にも症状が出ることがあります。
力も強くなっているため、かゆみから自分で引っかいてしまい、症状が悪化するケースも目立ちます。

13歳~

主に顔・首・胸部・背中など、上半身を中心に症状が現れます。
重症化することもあります。

原因

皮膚のバリア機能が低下している・未熟なところに、日常生活におけるさまざまな刺激・掻きこわし・ストレスなどが加わることで、アトピー性皮膚炎を発症します。
皮膚のバリア機能の低下の原因としては、食習慣や生活習慣の欧米化、界面活性剤、防腐剤などの影響が指摘されていますが、未だはっきりとしたことは分かっていません。
保湿などのスキンケアは、皮膚のバリア機能を補うことから、アトピー性皮膚炎の予防として有効になります。

検査方法

血液検査でIgE抗体を測定します。症状や経過、検査結果を総合して診断します。

治療方法

治療は、外用薬・内服薬を使った薬物療法と、毎日のスキンケアが基本になります。

外用薬

皮膚の状態、年齢などに応じて、適切なステロイド外用薬を選択し、使用します。しっかりと効果を得ながら副作用を抑えるため、正しい塗り方(量・範囲)を指導いたしますので、ご安心ください。
長期的に使用する場合、ステロイドに抵抗がある場合には、免疫抑制剤を使用することも可能です。
また、保湿剤の使用も有効です。お風呂あがりにはすぐに、十分に保湿をしてください。

内服薬

かゆみを抑える治療として、抗アレルギー薬の内服などを行います。

ぜんそく

気管支が発作的に狭くなることで、呼吸がしづらくなったり、喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒューという呼吸)がみられたりといった症状が引き起こされます。
背景に、気管支の慢性的な炎症があり、ちょっとした刺激で、繰り返し気管支が狭くなります。炎症が長引くと、気管支が硬くなり、治療にも時間がかかります。

症状

ぜんそくの症状
  • 息苦しさ(特に夜間・起床時・運動後など)
  • ゼイゼイ・ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)
  • 呼吸時に左右の肋骨のあいだがへこむ(陥没呼吸)

原因

ぜんそくには、さまざまな原因があります。ただ、そのうちのほとんどがアレルギー体質にあり、特にハウスダストアレルギーの方は、しばしばぜんそくを合併します。

アレルギー体質

ダニ、ほこり、真菌(カビ)、ペットの毛などのハウスダストにアレルギーをお持ちの方は、ぜんそくを発症しやすい傾向があります。

感染症

ウイルスなどの感染を原因としてぜんそくを発症することがあります。風邪からぜんそくへと移行するケースなどがよく見られます。

冷気・運動

冷たい空気は、吸い込むと気管支を刺激します。冬場などは、特に注意が必要です。また、運動によって呼吸が速くなることも、同様に気管支を刺激する原因となります。

気温・湿度・気圧の急激な
変化

季節の変わり目、冬場の外出時・帰宅時など、気温や湿度が急激に変化すると、気管支が刺激されます。台風の接近によって気圧が変化し、ぜんそくの発作が起こるということもあります。

ストレス・過労・睡眠不足

これらはいずれも、体内での炎症物質の産生を増加させるため、気管支の腫れおよびぜんそく発作の原因となります。

大気汚染・たばこの煙

黄砂、PM2.5といった大気汚染物質、たばこの煙も、気管支を刺激し、ぜんそく発作の原因となります。花火や蚊取り線香の煙が原因になるというケースも見られます。

対処方法

呼吸しやすい体位をとる

前傾姿勢、または後ろに寄り掛かる姿勢をとると、呼吸がしやすくなります。

発作時の薬を内服する

発作時の薬を処方されている場合は、お飲みください。

ハウスダスト対策

ハウスダスト対策を行うことで、発作の予防に役立つことがあります。
部屋を小まめに掃除する、寝具・カーテンを小まめに選択する、畳・じゅうたんを避けフローリングを選ぶ、換気をするといった方法があります。

治療方法

ぜんそくの治療では、発作を予防する薬、発作時に使用する薬を用いた薬物療法が中心になります。

発作を予防するお薬

気管支の炎症を抑えることを目的として、ステロイドの吸入、ロイコトリエン受容体拮抗薬、吸入ステロイドと長時間作動型気管支拡張薬の合剤などを用います。
これらのお薬で発作を予防できない場合には、吸入薬、注射薬の使用を検討します。

発作時に使用するお薬

気管支を広げる吸入薬や内服薬を使用します。
症状が強く現れるケースでは、ステロイドの内服や注射を検討します。